院政期社会の言語構造を探る

La societe de la periode des Ins vue par la structure languistique

 このコーナーでは、管理人・如月の院政期研究の一部をご紹介します。 いわゆるアカデミズムの外で行っているこの研究のなかでは、利用できる文献の制約等から、新文献・新事実の紹介には比重をおかず、比較的入手しやすい基本的文献の読解に力を入れました。そのうえで、構造主義の成果を取り入れ、歴史の枠組みを組み替えることを意識しています。したがって、研究タイトルにいう<言語>とは、構造主義のキーワードとしての<言語>であり、狭い意味での<言語活動>や<文学>というより、人間活動全般を指しています。つまり、人間活動全般を言語(あるいは記号)とみることで、政治、文学、絵画、宗教といった表層的には異なる活動領域(=研究領域)に属する対象を統一的に把握できるのではないかと考えたのです。
 この分析方法は、ミッシェル・フーコーの『言葉と物』(邦訳・新潮社)を強く意識したものですが、院政期研究をすすめるなかで黒田俊雄氏の<権門体制論><顕密体制論>を知り、より直接的には黒田氏が提唱した歴史学方法論の影響下に、研究をまとめています。
 考えてみると、「人間活動全般を言語とみる」というのは、黒田氏が中世社会全体に強い思想的影響を及ぼしているとする真言密教の創始者・空海の著作(たとえば『声字実相義』)に記された思想でもあり、構造主義という比較的新しい外来の思想から出発した研究ではありますが、結果的に、対象に即し、対象に内在する方法論で対象を分析するということに少し近づけたかと愚考しております。
 こうした方法論をとったために、対象を限定すると同時にその限定された対象の時間的な変化を重視して対象に接近するオーソドックスな歴史学の叙述に慣れた眼からすれば、読みづらい点が多々あるかと存じますが、内容面だけでなく、歴史学の方法論上の新たな試みとなることを意識したものであること、つまり対象とする主題、方法論の双方からする近代主義批判であることを勘案して本研究をお読みいただければ幸いです。
 なお、研究全体は白河院政期から後鳥羽院政期を俯瞰するものとして構想しておりますが、現在は後白河院政期、九条兼実の執政時代を中心にアップしております。
 Dans ces pages, le webmestre du site vous presente son etude sur la structure languistique de la societe de la periode des Ins au Japon en japonais (il y a des notes en francais).



はじめに
 
「なぜレトリックなのか」 Preface : Pourquoi on traite rhetorique dans cette etude


全体の概要(構想) Abrege total d'etude en plan

第一部 権力と言語
序 説 新しい価値観の模索

第一節 白河院政期の歌壇復興
 @大井川御幸と内裏歌合
 A天皇の権威と和歌
 B「後拾遺和歌集」
 C堀河天皇の朝廷歌壇:組題百首の創出
 D白河院政後期
 Eあらぶる言葉:輔仁親王のたたりへの怖れと「金葉和歌集」
   (この部分は、独立した論考「金葉集成立史小考」として『段かづら』に発表しました。)
 F顕密体制のなかの和歌
    Waka dans le systeme social dirige par les Bouddhismes exoterique et esoterique


第二節 鳥羽院と崇徳院

第三節 蓮華王院の主・後白河院
 Goshirakawa-in, un Maitre a Rengeo-in
 @院の民衆への接近 L'approche a peuple d'In
 A絵巻物の時空表現
   L'expression de l'espace et du temps dans les peintures en rouleau
   1)顕密体制と絵巻物
   2)「源氏物語絵巻」
   3)「伴大納言絵巻」
   4)「信貴山縁起絵巻」
   5)似絵の時代へ
 B-1 今様の政治学1 L'aspect politique d' Imayo 1
 B-2 今様の政治学2 L'aspect politique d' Imayo 2
 C法然の沈黙 Le silence de Honen
 D「千載和歌集」 <Senzai-wakashu>

第四節 九条家歌壇とその周辺
 Des poetes qui se sont rassembles a chez Kujo et ses fonds
 @摂関家の分裂 Demembrement de la famille de Regent
 A反院政派・九条兼実 Kanezane Kujo, comme un chef de la contre-force a In
 B慈円ーーまめやかの歌よみ Jien comme un poete
 C藤原良経 Yoshitsune Fujiwara
 D定家の登場 Debut de Teika Fujiwara
 E花月百首 Cent wakas par les themes des fleurs de cerisier et de la lune
 F
十題百首 Cent wakas par dix themes
 G六百番歌合 600 jeux des wakas
 H天台・浄土・禅――九条家をめぐる仏教諸派 Des sectes bouddhistes autour des Kujos
 I達磨歌 Les Daruma-utas (Les wakas incomprehensibles)
 J明恵:夢の世界の肯定 Myoe : L'Affirmation du monde de la reve
 K夢からうつつへーー九条家失脚 La chute des Kujos ; De la reve au monde reel

第五節 後鳥羽院と「新古今集」

第六節 歌の時代の終焉
 第一部小結ーー承久の乱後の歌壇

第二部 和歌の装置
装置
レトリック
 @ランガージュの浸潤
  <賦字> alliteration
 脱構築


 
補論
「正法眼蔵」の言語装置

むすび
むすび

拾遺
後鳥羽院「人も惜し」歌の新たな文脈〜「百人一首」の謎、私的解明
 Nouveaux contexte d'un waka de Gotoba-in



顕密体制論私的序説 Une introduction privee a Kenmitsu-taisei-ron

参考史料
『兵範記』(平信範)主要記事抜粋 Extraits des articles principaux de journal "Hyohanki"



鎌倉遺文研究第8号の案内
L'information sur la revue numero 8 de<Kamakura ibun kenkyu>



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