ピエール・ベールの生涯と著作
La Vie et des Oeuvres de Pierre Bayle

 ピエール・ベール Pierre Bayle (1647年−1706年)。南仏の寒村カルラで新教の牧師の子として生まれ、青年時代にカトリックに改宗したが、程なく新教に復帰、ジュネーヴに逃れて、そこの大学で学んだ。1675年、セダンの新教大学の哲学の教授となり、同大学の強制閉鎖後オランダへ亡命、ロッテルダムの市立大学の教授となったが、同信徒からも迫害されて解職、そのまま異郷で客死した。
 ベールは、フランス17世紀末の凄惨な新教徒迫害時代の権力と反権力の二重の圧迫下で、あらゆるドグマティズムへの先鋭な批判の刃を磨きあげ、理性と信仰の相克を徹底的に生き抜いた思想家といえる。また同時に歴史批判の開拓者として独断と偏見の集積のなかで事実の価値を教え、宗教的寛容の旗手としては、「思想の自由」の歴史上に重要な足跡を残した。
 フォイエルバッハは、彼を「あらゆる反ドグマティズムの論争家たちの弁証法的な<ゲリラの首領>」と評している。
 主な著作に、迷信の打破とともに道徳と宗教の分離をはかった「彗星雑考」(1682年)、新教徒迫害に抗議して信教の自由を主張した「<強いて入らしめよ>というイエス・キリストの言葉に関する哲学的註解」(1686−87年)、全欧的な名声を博した雑誌「文芸共和国便り」(1684−87年)などがあるが、とりわけ「歴史批評辞典」(1696年)は驚くべき博識と強烈な批判精神の綜合で、啓蒙思想の形成に多大な刺激を与えた。



ピエール・ベール著作集 法政大学出版局(全訳・解説:野沢協)
Des oeuvres choisis de Pierre Bayle, Hosei University Press, Tokyo
Traduit en japonais et commente par Kyo Nozawa

第1巻 彗星雑考
「彗星雑考」(1682年)、「彗星雑考付記」(1694年)以上全訳
Tome 1: Pensees diverses sur la comete. Addition aux Pensees diverses sur les cometes.
(Traductions completes)
1978年刊

第2巻 寛容論集
「ルイ大王のもと、カトリック一色のフランスとは何か」(1686年)、「<強いて入らしめよ>というイエス・キリストの言葉に関する哲学的註解」(1686〜7年)、「<強いて入らしめよ>というイエス・キリストの言葉に関する哲学的註解・補遺」(1688年)、「亡命者の手紙に対する新改宗者の返事」(1689年)以上全訳
Tome 2 : Ce que c'est que la France toute catholique sous le regne de Louis le Grand. Commentaire philosophique sur ces paroles de Jesus-Christ, contrains-les d'entrer. Suplement du commentaire philosophique sur ces paroles de Jesus-Christ, contrains-les d'entrer. Reponse d'un nouveau converti a la lettre d'un refugie.
(Traductions completes)
1979年刊

第3巻 歴史批評辞典1
「歴史批評辞典」A〜D(1696年)抜粋翻訳
Tome 3 : Dictionnaire historique et critique <A-D>
(Extraits)
1982年刊

第4巻 歴史批評辞典2
「歴史批評辞典」E〜O(1696年)抜粋翻訳
Tome 4 : Dictionnaire historique et critique <E-O>
(Extraits)
1984年刊
 
第5巻 歴史批評辞典3
「歴史批評辞典」P〜Z(1696年)抜粋翻訳
Tome 5 : Dictionnaire historique et critique <P-Z>
(Extraits)
1987年刊

第6巻 続・彗星雑考
「続・彗星雑考」(1704年)全訳
Tome 6 : Continuation des Pensees diverses sur la comete.
(Traduction complete)
1989年刊

第7巻 後期論文集1
「田舎の人の質問への答」第1〜3巻(1703〜5年)抄訳
Tome 7 : Reponse aux questions d'un provincial 1-3.
(Extraits)
1992年刊

第8巻 後期論文集2
「田舎の人の質問への答」第4〜5巻(1706〜7年)抄訳
「ベール氏のためのル・クレール氏への答」(1706年)、「マクシムとテミストの対談」(1707年)以上全訳
Tome 8 : Reponse aux questions d'un provincial 4-5.(Extraits)
Reponse pour Mr. Bayle a Mr. Le Clerc.(Traduction complete)
Entretiens de Maxime et de Themiste.(Traduction complete)
1997年刊

【参考文献】
ピエール・ベール伝(ピエール・デ・メゾー<野沢協訳>、法政大学出版局、2005年)

ピエール・ベール関連サイト Sites concernant Pierre Bayle

The Pierre Bayle Institute (University of Nijmegen)

The Pierre Bayle Home Page

「17世紀人物誌」〜ピエール・ベールの項へ Article Pierre Bayle du site

野沢協氏プロフィール Profil de Kyo Nozawa

近代知確立への歩み(17〜18世紀簡易年表) Chronologie