ユリ科植物 Liliaceae


シュロソウ亜科
Melanthioideae
短い茎をもつが、まれに鱗茎をもつことがある。花序は頂生する。花被片は離生。子房は上位または中位。果実は刮ハである。
ダールグレンらはシュロソウ科として独立させ、シュロソウ目に分類
へロニアス連:シライトソウ属
チシマゼキショウ連:ショウジョウバカマ属、チシマゼキショウ属
ウーウラリア連:ウーウラリア属(非栽培)
ホトトギス連:サンダーソニア属、ホトトギス属
メランティウム連:シュロソウ属(非栽培)
イヌサフラン亜科
Wurmbaeoideae
鱗茎、まれに短い根茎で、2個の、芽をもつ。茎に葉がつくか、基生の葉をもつ。
ダールグレンらはイヌサフラン科として独立させ、狭義のユリ目に分類。
コルチクム連:コルチクム属(非栽培)
イフィゲニア連:イフィゲニア属(非栽培)
グロリオーサ連:グロリオーサ属(非栽培)
ユリ亜科
Lilioideae
鱗片があるか、表皮状の低出葉がある鱗茎をもつ。茎頂に目立つ花をつける。花被片は離生。子房上位で葯は内側が裂開する。果実は刮ハ。ダールグレンらはこの亜科のみを<ユリ科>とし、狭義のユリ目に分類。 カロコルトゥス連:カロコルトゥス属(非栽培)
チューリップ連:カタクリ属、チューリップ属
ユリ連:フリティラリア属、ユリ属、ノモカリス属、ノトリリオン属
キジカクシ亜科
Asparagoideae
根茎をもつ多年草。根茎の先端から葉、花のつく枝を出す。子房上位。果実は液果。
ダールグレンらはこの亜科をエンレイソウ科、スズラン科、キジカクシ科に細分し、エンレイソウ科をヤマノイモ目に、スズラン科、キジカクシ科をキジカクシ目に分類。
スズラン連:ハラン属(非栽培)、スズラン属、キチジョウソウ属、オモト属
アマドコロ連:ツバメオモト属(非栽培)、チゴユリ属、マイヅルソウ属、アマドコロ属、ユキザサ属
ツクバネソウ連:ツクバネソウ属(非栽培)、エンレイソウ属
キジカクシ連:キジカクシ(アスパラガス)属(非栽培)
ヘレリア亜科
Herrerioideae
球根をもち、他物に巻きつく茎を出す。葉は叢生し、小さい花をもつ総状花序が茎の基部につくか、枝の先に円錐花序がつく。
ダールグレンらはヘレリア科として独立させ、キジカクシ目に分類。
ヘレリア(非栽培)ほか3属からなる。
ツルボラン亜科
Asphodeloideae
根茎をもつ多様な植物が属している。葉は多くは根から直接生じる。花被片は下部で多少合着する。子房は上位。果実は刮ハ。クロンキストは、このなかのアロエ連をアロエ科として独立させている。ダールグレンらはこの亜科をツルボラン科、へメロカリス科、キボウシ科などに細分し、キジカクシ目に分類。 ツルボラン連:ツルボラン属、オリヅルラン属(非栽培)
へメロカリス連:へメロカリス属、キボウシ属
アロエ連:アロエ属、ガステリア属、ハウォルティア属、クニフォフィア属
ネギ亜科
Allioideae
鱗茎または短い根茎をもつ。葉は扁平または筒状で根から直接着く。花茎に葉がない。花序は2個の幅広い苞により包まれて生じる散形状である。子房は上位。果実は刮ハ。
ダールグレンらはネギ科として独立させ、キジカクシ目に分類。
ヒガンバナ科植物はネギ亜科から進化したものと考えられる。
アガパントゥス連:アガパトゥス属、ツルバキア属(非栽培)
ネギ連:ネギ属、キバナノアマナ属、ペッセラ属、ブローディア属(非栽培)、ディケロステンマ属、イフェイオン属(非栽培)、リューココリネ属(非栽培)
ツルボ亜科
Schilloideae
表皮状の低出葉がある鱗茎をもつ。茎には葉がない。花は高出葉の腋につく。
ダールグレンらはヒアシンス科として独立させ、キジカクシ目に分類。
ツルボ連:ラシュナリア属、オーニソガラム属、ドリミオプシス属、ポリクセナ属、フェルトハイミア属、マッソニア属、ユーコミス属(非栽培)、ウルギネア属(非栽培)、ムスカリ属、エンディミオン属、ヒアシンス属、プーシュキニア属、チオノドクサ属、ツルボ属、カマッシア属(非栽培)
ジャノヒゲ亜科
Ophiopogonoideae
短い根茎をもつ。線形で根から直接生える葉をもつ。花は穂状または総状花序。子房は上位または中位。果実は刮ハ。果皮は薄い。 ジャノヒゲ連:ヤブラン属(非栽培)、ジャノヒゲ属(非栽培)
ぺリオサンテス連:ペリオサンテス(非栽培)
アレトリス亜科
Aletroideae
短い根茎があり、根本に線形または披針形の基生の葉を叢生させる。花被片は大部分がつぼ形に合着。子房は中位。果実は刮ハ。 ソクシンラン属(非栽培)ほか2属からなる。
ルズリアガ亜科
Luzuriagoideae
低木で、よじ昇る枝をもつ。
ダールグレンらはルズリアガ科として独立させ、キジカクシ目に分類。
ラパジュリア属
サルトリイバラ亜科
Smilacoideae
太い根茎をもつ低木で、よじ昇る枝と網状脈の葉をもつ。枝にはしばしばとげがある。葉柄の基部に托葉が変形した巻きひげがある。子房上位。果実は液果。
ダールグレンらはサルトリイバラ科として独立させ、ヤマノイモ目に分類。
シオデ属(非栽培)ほか4属からなる。

 ユリ科植物Liliaceaeは、ツユクサ科とハナイ科の植物に似たものから分化したとみられ、さらにそうして誕生した原始的なユリ科植物から、ヒガンバナ科、アヤメ科、ラン科 などのさまざまな植物が分化していったと考えられています。地球上のさまざまな地域に分布し、気候、風土にあわせて多様な進化をとげているために、科としての端的な特徴をあげるのが非常に困難で、分類が難しいグループの一つです。
 その多くは多年生の草本で、まれに木本となるものもあります。しかし草本と木本の中間型で、葉や茎で、他のものに巻きつく生活形態をとるものも少なくありません。 また根茎(リゾーム)、球茎、魂茎などの特殊化した茎をもつものが多いだけでなく、 多肉質の葉が貯蔵組織化しているものもあります。このためユリ科のなかの多くの植物は、 園芸上<球根植物>に分類されます。
 花序(個々の花が茎や枝につく並び方)のパターンも多様です。茎の先端に1個の花をつける こともあれば、いくつかの花が集合することもあり、集合のパターンそのものもさまざまです。ほとんどの種で花は両性で、形は放射相称。双子葉植物の多くのように萼と花冠がわかれ ていないので、一見花弁(花びら)のようにみえるものは、ユリ科では、正式には<花被片> と呼ばれています。花被片は合着して筒状になることもあります。花被片、雄しべは、大半が6枚(本)です。雌しべの基部を構成し、受粉後果実となる子房が花被片の内側にある<子房上位>のものが多く、かつてはそれがユリ科の特徴とされていたこともあります。しかしなかには子房中位や下位の種もあります。
 植物学者エングラーは、これを12の小グループ(亜科)にわけましたが、多様な形態の種が集まっていることから、ダールグレンらは、エングラーの提唱する<ユリ科>を <ユリ上目>に格上げしたうえで、ユリ目とキジカクシ目に大きく2分し、エングラーの分類体系のほとんどの亜科を<科>として独立させました(その際に、ヒガンバナ科、アヤメ科など<ユリ科>と近縁の植物も<ユリ上目>に組み入れられ、あらたに分類 されました)。
 ダールグレンらの体系によるユリ目とキジカクシ目の違いは、種皮の構造にあり、キジカクシ目 では内種皮は退化しています。またキジカクシ目の葉は多肉質になることがあります。 しかし、その中間的な形質を示す植物もあって、ダールグレンらの体系も決定的なものとは いえません。
 なおクロンキストは、ダールグレンらとは逆に、エングラーが独立した科としていたヒガンバナ科、 キンバイザサ科の植物をもユリ科に入れ、ユリ科の概念を拡大しました。
 これらの分類体系の違いは、ダールグレンらがエンレイソウ属をヤマノイモ目に移すなど 各植物の本質にかかわるものもありますが、その多くは、<目><科><亜科>などの分類概念 の恣意性によるものといってもいいようにも思われます。
 しかし、それがしばしば園芸家を混乱させているのも事実です。

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単子葉植物の分類

ヒガンバナ科の分類

アヤメ科の分類

双子葉植物の分類

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